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高齢者施設・住宅には「特別養護老人ホーム」「有料老人ホーム」「グループホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」「高齢者向け優良賃貸住宅」「ケアハウス」など、様々なタイプがあります。
都市型軽費老人ホームも高齢者施設の一つで、主に経済状況や家庭環境、健康状態など様々な事情で家族の援助が受けられず、自宅で生活を送ることが困難な高齢者を受け入れています。
都市型軽費老人ホームは2010年ごろから新設が進められ、都市部で増加傾向にある60歳以上の高齢者の受け皿として整備が始まりました。
今回は超高齢化社会を目前に整備が進んでいる「都市型軽費老人ホーム」について、施設の特徴や料金(費用)、入所基準、提供されるサービス、設備、入所の難易度から申し込み方法も含めて、ご紹介したいと思います。
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都市型軽費老人ホームとは
都市型軽費老人ホームは、老人福祉法に基づく老人福祉施設で、軽費老人ホームa型、b型、ケアハウスなどと同じ軽費老人ホームの一つです。
都市型軽費老人ホームの特徴
軽費老人ホームは「老人福祉法第20条の6」において、ひとり1部屋を確保することや、居室の面積、人員配置などが老人福祉法で細かく定められています。
しかし地価が高く高齢者人口の多い東京などの都市部では、賃料にあたる「住居費」が高額になってしまうという課題がありました。
そこで都市部を中心に居室面積の特例を設け、リーズナブルな価格で入所できるよう居住面積や人員配置の基準を緩和させ、利用料金を低額に抑えたのが「都市型軽費老人ホーム」です。
都市部での受け入れができなかった時代は、県外にある施設などを利用せざるを得ませんでしたが、都市型軽費老人ホームが新設されるようになり、住み慣れた地域で暮らし続けることも可能になりました。
では入所にかかる初期費用、月額利用料金(費用)はどのくらいなのでしょうか?
都市型軽費老人ホームの料金(費用)
従来の軽費老人ホームやケアハウスでは、入居の際に初期費用として「入居一時金」や「保証料」が必要ですが、都市型の場合は初期費用が不要です。
また、入居者の収入に応じて自治体の助成が受けられるため、比較的安価な月々の利用料のみで暮らすことができます。
■都市型軽費老人ホーム 愛の家下落合の例
(引用:愛の家ホームページより)
月額利用料の内訳は、「サービス提供にかかる費用」「管理費」「生活費」に分類されます。
家賃にあたる「管理費」は各施設ごとに料金に違いがあり、「生活費」は主に食費にあたるものです。
「サービス提供にかかる費用」に関しては利用者の前年の収入によって助成が受けられます。
軽費老人ホームは、所得の低い人を優先して受け入れているので、ほとんどの場合、本人負担は10万円~13万円程となります。
専用部分(居室)の光熱費、個人的に必要な経費(医療費、介護サービスの自己負担分・嗜好品)などは含まれていません。
冬季の暖房費などは別途加算される施設がほとんどです。
では、都市型軽費老人ホームに入るにはどのような基準があるのでしょうか?
都市型軽費老人ホームの入所基準
都市型軽費老人ホームは60歳以上で、身寄りのない方や、様々な事情で家族との同居が困難な方を主に受け入れています。
所得制限はなく、生活保護を受けている方でも入居は可能となっています。
■大田区の例(対象者)
- 60歳以上
- 低所得でおおむね1年以上区内に住民票がある
- 身元保証人が得られる(事情は考慮あり)
- 自立した生活を営むのに不安がある
- 日常の金銭の管理ができる
- 感染症がなく医療について自己管理ができる
- 問題行動を伴わず共同生活ができる
- 家族による援助が受けられない
都市型軽費老人ホームで提供されるサービス
都市型軽費老人ホームで提供されるサービスは1日3食の食事の提供、入浴等の準備、生活相談、その他入所者が安心した生活を行えるよう計らう便宜の供与です。
基本的に食事の介助や排せつ、入浴の介助はないので、介護を希望する場合は外部事業者と契約し、介護保険サービスを利用することになります。
都市型軽費老人ホームの設備
都市型軽費老人ホームの整備が始まったのが2010年以降のため、施設は新しい建物が多く、立地も利便性が高いのが都市型の特徴です。
原則としてひとり一部屋専用の個室(7.43㎡)が確保され、居室には緊急通報ボタンが設置され、要所に手すり、段差をなくした床など、高齢者に優しいバリアフリー設計になっています。
設備の定員は5名以上、最大20名で、敷地面積が少なくても建設できるよう小ぶりなホームとなっています。
施設によっては居室にミニキッチンや小型の冷蔵庫、洗面所やトイレを完備しているところもあります。
従来の軽費老人ホームと違い、娯楽室、集会室の設置義務はないので施設によってまちまち。共用の食堂、浴室、トイレ、面談室、洗濯室などは設置されています。
都市型軽費老人ホーム入所の難易度
都市型軽費老人ホームは誕生してまだ日が浅いこともあり、施設の数も十分とは言えません。
また、1施設の最大人員も20名となっていて、多くの入居者の受け入れには対応していません。しかし小規模であるため、新設しやすく、建築には自治体の助成金が交付されることもあり、徐々に増えてきています。
東京都は高齢者対策として「都市型軽費老人ホーム」にも力を入れており、新たな建設の場合は申請することで、地主オーナーなどの個人経営の場合は1部屋400万円、事業所の場合は500万円の助成金が出るため、土地活用や地域貢献などの意味で参入者も増えてきているんですね。
従来の軽費老人ホームは社会福祉法人や自治体の運営がほとんどでしたが、民間の個人や企業の参入も認められるようになったので、今後その数が順調に伸びていけば、入所の難易度も緩和され、多くの高齢者の受け皿となっていくことと思われます。
都市型軽費老人ホーム入所するには(申し込み方法)
都市型軽費老人ホームの入所申し込みは、基本的には各施設に直接申し込みます。
とはいえ、どこに施設があるのかもわからないと思いますので、各自治体の老人福祉課の問い合わせると、対象になっている施設を教えてもらえます。
特に新規開設時は自治体を経由して申し込む場合もあるので、老人福祉課、介護保険課などに問い合わせてみてください。
利用期間
都市型軽費老人ホームは60歳以上という年齢制限はありますが、退所年齢の定めはないので、心身ともに健康で円滑な共同生活を送ることができるのであれば、利用期間の制限はありません。
ただ、基本的に自立した生活を前提とした施設なので、日常的に介護が必要になったり、心身の状態が悪くなる(認知症が進んだ場合など)は、退所することになります。
では具体的にどのような時に、利用の取り消しになるのでしょうか?
利用の取り消し
利用の取り消しは、施設によって様々ですが、一般的に以下に該当する場合などに、利用を取り消されることがあります。
- 身体機能の低下などで、都市型軽費老人ホームでの生活が困難になった時
- 3ヶ月以上の入院
- 利用料を3ヶ月以上滞納した時
重度の介護状態になった時や、認知症が進み、集団生活に支障が出るような場合は退所となります。その場合は、別の介護サービスを受けることができる施設の紹介を相談してみるとよいでしょう。
また、長期入院の場合も退所の対象となり、退院が叶った場合は改めての入所となります。
都市型軽費老人ホームのメリット・デメリット
メリット
都市型軽費老人ホームのメリットは、自立した生活に不安がある高齢者が、自治体の助成を受けながら低額な料金で、安心して暮らせるスペースを確保できるところです。
居室は専用の個室が確保され、入所者の意思と人格を尊重するという基本方針に沿った運営がなされていることも、利用者には大きなメリットだと言えます。
居室の広さは7.43㎡(四畳半ほど)と、ほかの軽費老人ホームに比べると狭くなりますが、住み慣れた地域で暮らせるので、全く知らない土地で暮らすというストレスがない、という利点もあります。
デメリット
同じ軽費老人ホームの中でも都市部に新設されることもあり、最大定員20名の小規模な施設で設備の面では集会室や娯楽室がありません。
また居室も従来の軽費老人ホームの半分の広さとなるところはデメリットといえます。
ただ、地価の高い都市部の施設であること、利用料金も助成金を利用することで安価に設定されていることを考えると、施設の広さに関してはデメリットとは言えないと思います。
都市型軽費老人ホーム 既成市街地等の範囲
首都圏 | 東京23区・三鷹市・武蔵野市・横浜市・川崎市・川口市の特定の地域 |
近畿圏 | 大阪市・京都市・布施市・堺市・守口市・神戸市・尼崎市・芦屋市の特定の地域 |
中国圏 | 名古屋市の特定の地域 |
※既成市街地とは
首都圏整備法で用いられる語。産業又は人口が相当程度集中し、公共施設の整備及び土地の高度利用等の市街地としての開発が既に行われている地域で同法で定められている。
都市型軽費老人ホーム まとめ
都市型軽費老人ホームについて、利用料金(費用)、入所基準、提供されるサービス、設備、入所の難易度、利用期間や退所に関する条件も含めてまとめてきました。
いかがでしたか?
都市型軽費老人ホームは居室面積の特例を設け、収入が低くても安心して入居することができるよう配慮された福祉施設です。
核家族化が進み、一人暮らしの高齢者人口が過去最高を記録している現在、これからの首都圏をはじめとする高齢化対策の一役をになうのではと期待が高まっています。