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リバースモーゲージ(Reverse mortgage)は、自宅を担保にした融資制度のひとつで、その家に住みながら資金の貸し付けを受けられるという大きな特徴があります。
持ち家はあるけれど現金収入が少ないという高齢者世帯が、住居を手放すことなく収入を確保することができるため、高齢化対策の一環として国もその公的リバースモーゲージ制度(不動産担保型生活資金)を推進しています。
リバースモーゲージは大きく3つのタイプに分けられます。
①民間金融機関のリバースモーゲージ
②不動産担保型生活資金
(社会福祉協議会が実施しているリバースモーゲージ)
③要保護世帯向け不動産担保型生活資金
(低所得者を対象と限定したリバースモーゲージ)
この3つは自宅を担保とした貸付制度という点は同じですが、それぞれ特徴があり、貸付の条件にも違いがあります。
中でも社会福祉協議会が実施しているリバースモーゲージは、厚生労働省の「長期生活支援資金貸付制度」が「不動産担保型生活資金」として制度改正されたもので、近年注目を集めています。
今回は民間金融機関が行っているリバースモーゲージと、社会福祉協議会が実施している不動産担保型生活資金の2つに絞って、メリット・デメリット、どのような人に向いていて、またどのようなリスクがあるのか、条件も含めいてそれぞれの違いを中心にご紹介していきたいと思います。
民間のリバースモーゲージと不動産担保型生活資金の違い

銀行(民間金融機関)のリバースモーゲージと、自治体や社会福祉協議会が実施しているリバースモーゲージ(不動産担保型生活資金)はどこが違うの?
民間の金融機関(銀行)のリバースモーゲージは融資プランの一つで、営利を目的としたものです。公的なリバースモーゲージ(不動産担保型生活資金)はあくまでも生活支援を目的とするもので、同じ融資でも目的の上で両者には大きな違いがあります。
もっとくだけた言い方をすれば、対象としている「層」に違いがあります。
民間の金融機関が行っているリバースモーゲージは、主に豊かな老後を送るための資金調達(たとえば海外旅行や趣味の充実、有料老人ホームなどの入所資金)を目的としている層が対象となっています。一方、厚生労働省(社会福祉協議会)や各自治体の公的制度は、生活に必要な資金を融資する低所得者層向けとなっています。
さらに「対象年齢」「所得条件」「まとまった資金の借り入れ」「保証人」など融資の条件にも違いがみられます。
詳しく見ていきましょう。
民間のリバースモーゲージ
■東京スター銀行のリバースモーゲージ説明動画
2010年頃、民間金融機関のリバースモーゲージといえば東京スター銀行の「充実人生」と三井信託銀行くらいでしたが、2018年現在は取り扱う金融機関も増え、46以上の銀行が独自のリバースモーゲージ商品を提供しています。
対象年齢の条件を50歳からと設定している実施機関もあり、公的なリバースモーゲージの条件と比較すると、広い幅の年齢層で制度の利用が可能となっています。
また月払い、年払い、契約時に一括払い、必要時に必要額だけ借りるのプランなど、貸付方法も柔軟な上、使途の自由度が高い点も大きな特徴でしょう。
加えて、民間金融機関のリバースモーゲージでは連帯保証人不要のプランがほとんどです。
銀行系のリバースモーゲージのパンフレットを見ると、旅行や趣味の充実、高齢者施設への入居資金に充てるなど、融資の使い道が自由であることが分かります。
子供がいない、資産を残す必要がない単身者の場合は、自宅に住みながら不動産を現金化できるというメリットがあります。
ただ、金融機関ごとに対応エリアが限定されていて、地価が比較的高く、さらに将来的な地価の下落がそれほど大きくないと見込まれる都市部のみが対象になっているというのが現実です。
当初は一戸建てのみが対象で、マンションは対象外となっていましたが、最近は貸付額の割合を低く設定することで、集合住宅に対応する金融機関も出てきました。
<<民間金融機関のリバースモーゲージ例>>
みずほ銀行のみずほプライムエイジ | |||
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りそな銀行のあんしん革命 | |||
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東京スター銀行の新型リバースモーゲージ「充実人生」 | |||
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社会福祉協議会のリバースモーゲージ利用条件
各都道府県の社会福祉協議会が実施しているリバースモーゲージは「不動産担保型生活資金」という制度で、高齢者の生活支援のために設けられています。
民間のリバースモーゲージは都市部の住宅を対象としていて、ある程度不動産価値のある住宅が対象となっていて、利用条件のハードルは高めです。
一方、各都道府県の社会福祉協議会が実施している「不動産担保型生活資金」は、対象となる土地・建物の評価額の基準が1500万以上と低く設定してあるので(1000万円程度でも貸付対象となる場合もあります)、比較的制度を利用しやすいよう整えられています。
各都道府県の社会福祉協議会ごとに多少の違いはありますが、厚生労働省の指針に沿った制度なので大まかな条件はほとんど同じで、利益を目的としていないという安心感もあります。
以下に東京都の例で説明していきましょう。
・配偶者、または親以外の同居人がいない世帯
・当該不動産が借入申込者の単独所有か、同居の配偶者との共有であること
(共有の場合,配偶者は連帯借受人となります)
・不動産に貸借権等の利用権や担保権等(抵当権・賃借権等)が設定されていないこと
・土地の評価額が1500万円以上の一戸建て住宅である
(貸付条件によっては,1,000万円以上でも可能)
・借入世帯が市町村民税の非課税世帯または均等割り課税程度の低所得世帯であること
・貸付月額:30万円以内(臨時増額可能)
・資金交付:3ヶ月分ごとにまとめて貸付
・貸付期間:限度額に達するまでの期間
・貸付利率:年3%または長期プライムレートのいずれか低い方
・推定相続人から連帯保証人1名が必要
・推定相続人の同意が必要
「不動産担保型生活資金」は厚生労働省が創設した制度
「不動産担保型生活資金」は、厚生労働省が2002年12月より都道府県社会福祉協議会を実施主体として創設した「長期生活支援資金貸付制度」をさらに制度改正したものです。
「長期生活支援資金貸付制度」は、現在所有し居住している自宅に「これからもずっと住み続けたい」と考えている低所得の高齢者に、その不動産を担保に国が生活資金を貸付けるものです。
団塊世代の超高齢化を目前に、持ち家はあっても生活に困窮する高齢者対策として、各都道府県の社会福祉協議会がこの制度の実施機関として、国と借り受け人の橋渡し的な役割を担っています。
社会福祉協議会のリバースモーゲージ 利用の流れ
社会福祉協議会などの公的リバースモーゲージ(不動産担保型生活資金)を利用する場合、申し込みから貸付金交付までに最短でも6か月程度かかります。
まず「申し込みができるかどうかの事前審査」があり、申し込みの許可が下りて初めて正式な「申込」手続きに入るなど、一つ一つの行程に時間を要するからです。
それではどのような流れで貸し付けが実行されるのか見ていきましょう。
~リバースモーゲージ利用の流れ~
住民票のある地域の社会福祉協議会に「不動産担保型生活資金」を利用したい旨相談します。
▼
貸し付け条件を満たしているか、また固定資産評価額を確認するために事前審査を行います。
証明書は審査に落ちた場合、辞退した場合でも自己負担となります。
資料は3ヶ月以内に発行したものを提出します。1.世帯全員の区市町村民税非課税証明書
2.不動産の登記簿謄本
3.不動産の公図
4・不動産の固定資産評価証明書
(あるいは固定資産税課税明細書)
▼
事前審査で申し込みが可能という結果が出たら、借入申込書と共に以下の書類を添付して申し込みます。1.世帯全員の住民票の写し
2.借入申込者・推定相続人の戸籍謄本
3.不動産の測量図
4.不動産の建物図面
5.その他(依頼のあった書類)
▼
実際に担保となる自宅を調査するため、調査員が自宅を訪問します。
土地の評価は不動産鑑定士が行い、それに伴う費用も自己負担となります。
▼
貸し付けが決定された場合、貸し付け条件に基づき、社会福祉協議会と貸し付け契約を結びます。
▼
契約締結後、根抵当の設定登記と所有権移転請求権保全の仮登記を行います。
この場合の登記は司法書士に委託しますが、それらにかかる費用(委託料・登録免許税など)は自己負担となります。
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登記完了後に社会福祉協議会から貸付金が交付されます。
交付金は指定の口座に3ヶ月ごとに3ヶ月分の貸付金が送金されます。
▼
土地の評価額は変動があるため、貸付期間中は3年ごとに土地の再評価を行います。
再評価も不動産鑑定士が行い、その際の費用も自己負担となります。
また、土地の価格が減少した場合は、貸付限度額の変更となる場合もあります。
■申し込みにあたっての注意点
申し込みから貸付金交付までは、最短でも6か月程度かかります。不明な点や不安に思うことは遠慮せず社協に聞いてみましょう。
申し込みにかかる経費(不動産評価料、不動産登記にかかる費用、証明書発行手数料など)は、全て制度利用者が負担することになっています。
またこれらの経費は貸付が成立しなかった場合や、結局辞退した場合でも返金されることははなく、すべて自己負担となります。
貸付限度額に達した場合は貸付が停止されてしまうので、どのくらいの期間資金を借りるのか、慎重に検討することも大事です。
貸付限度額は70%の2100万円となります。貸付利率を3%で計算した場合
月額8万円の貸付⇒期間は17年11ヶ月
月額10万円の貸付⇒期間は14年11ヶ月
月額10万円の貸付⇒期間は12年9ヶ月
となります。
不動産担保型生活資金のメリットとリスク
リバースモーゲージの利用には賛否両論あります。
リバースモーゲージには大きなメリットがある反面、貸付限度額以上に長生きして資金が底をついたり、不動産の下落という大きなリスクを伴うからです。
リバースモーゲージを利用する際のリスクとはどのようなものか、さらに詳しく見ていきましょう。
不動産担保型生活資金のメリット(リバースモーゲージのメリット)
不動産担保型生活資金のメリットは、持ち家はあっても手持ちの現金が少なく、生活にゆとりが持てない高齢者に、住み慣れた自宅に住みながら融資が実行され、一般的な生活が維持できるところです。
通常のローンが借りにくい高齢者でも持家があれば利用できるので、単身者や「子どもに家を残さない」と割り切れる方なら、老後の資金として有効な選択肢の一つと言えます。
持ち家があっても年金額が少ないと、生活にゆとりがありません。
貯蓄額や年金が少なくても一般的な生活を維持できるところが、リバースモーゲージのメリットと言えます。
不動産担保型生活資金のリスク(リバースモーゲージのリスク)
リバースモーゲージのリスクは、大きく分けて4つあると言われています。
・担保物件の評価価値が下落するリスク
・返済時に売却価格が借入残高を下回る「担保割れ」
・契約者が死亡した際の相続人のリスク
■長寿のリスク
貸付限度額いっぱいまで借りた後もさらに長生きをした場合、本当に必要なときに新たな融資を受けられないばかりか、利息だけを支払い続けなければならなくなるという危険性も孕んでいます。
■担保物件の評価価値が下落
リバースモーゲージの担保となる土地は、通常一定期間(3年ごと)ごとに評価が見直される仕組みになっています。もしも地価の下落などにより著しく評価額が下がった時は、契約終了前に融資が打ち切られるリスクもあります。
■返済時に売却価格が借入残高を下回る「担保割れ」
リバースモーゲージの金利は一般的に変動型の設定がほとんどで、金利上昇によって借入残高が想定以上に増えれば、担保割れを引き起こすことがあります。
■相続人にとってのリスク
リバースモーゲージの担保となる土地は不動産相続ができない上に、相続税や所得税は支払わなければらないという相続人にとってのデメリットがあります。
さらに売却時に担保物件の評価価値が下落していた場合、また元本割れした場合も相続人が不足分を負担しなければならないというリスクもあります。

貸付限度額に達し場合はどうなるの?
貸付限度額に達した場合、貸付は停止されますが契約終了時(死亡した時)まで自宅に住み続けることができます。
ただ貸付金利は発生し続けるので、契約終了後に貸付元金と利息を合わせて一括償還(返済)することとなります。

契約者である夫が亡くなった後も、住み続けることはできるの?
貸付限度額に達していないなどの要件を満たせば、期日まで住み続けることができます。
すでに貸付限度額に達した後に契約者である夫が亡くなった場合は、原則として契約終了となります。
継続して住み続けることを希望する場合は社協に相談してみてください。その時の状況によって妻が住み続けられるかどうかの審査が行われます。(審査の結果によって住み続けられる場合と、退去しなければならない場合とがあります。)
リバースモーゲージに向いている人とは
社会福祉協議会が実施しているリバースモーゲージ(不動産担保型生活資金)は、低所得者向けのプランなので、向く向かないではなく、収入によって利用できる人とできない人に分かれます。(申し込めるか否かは事前審査でわかります)
また申し込み可能と審査された場合でも、推定相続人の理解が得られなければ契約は難しくなります。
その前提を踏まえた上でリバースモーゲージに向く人をリストアップしてみました。
・持ち家があり手持ちの現金が少ない人
・年金収入では生活が厳しい人
・子供に資産を残す必要のない人
・生きている間に自分で資産を使いたい人
まとめ
民間金融機関(銀行)のリバースモーゲージと、社会福祉協議会が実施しているリバースモーゲージ(不動産担保型生活資金制度)についてまとめてきました。
いかがでしたか?
2017年の厚生労働省の調べによると、日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳で、ともに過去最高を更新しました。
リバースモーゲージはメリットもありますが、貸付限度額に達して以降も長生きした場合の生活についてや、元本割れのリスクなど軽視できない問題点も多々あります。
連帯保証人にかかる負担もありますので、制度を利用する際は家族内で話し合いの場を設け、理解を求めた上で慎重に判断することが大事です。
不明な点、分らない点は各地域の社会福祉協議会に気軽に問合せしてみましょう。
都道府県の社会福祉協議会一覧
全国の各都道府県社会福祉協議会の一覧表です。
「不動産担保型生活資金」は、お近くの都道府県社会福祉協議会や市町村社会福祉協議会にご相談ください。
<北海道地区> | |||
北海道社会福祉協議会 |
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<東北地区> | |||
青森県社会福祉協議会 |
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秋田県社会福祉協議会 |
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岩手県社会福祉協議会 |
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宮城県社会福祉協議会 |
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山形県社会福祉協議会 |
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福島県社会福祉協議会 |
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<関東地区> | |||
東京都社会福祉協議会 |
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神奈川県社会福祉協議会 |
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千葉県社会福祉協議会 |
| ||
埼玉県社会福祉協議会 |
| ||
群馬県社会福祉協議会 |
| ||
茨城県社会福祉協議会 |
| ||
栃木県社会福祉協議会 |
| ||
<甲信越> | |||
山梨県社会福祉協議会 |
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新潟県社会福祉協議会 |
| ||
長野県社会福祉協議会 |
| ||
静岡県社会福祉協議会 |
| ||
富山県社会福祉協議会 |
| ||
石川県社会福祉協議会 |
| ||
福井県社会福祉協議会 |
| ||
岐阜県社会福祉協議会 |
| ||
愛知県社会福祉協議会 |
| ||
<関西・近畿> | |||
三重県社会福祉協議会 |
| ||
滋賀県社会福祉協議会 |
| ||
京都府社会福祉協議会 |
| ||
大阪府社会福祉協議会 |
| ||
兵庫県社会福祉協議会 |
| ||
奈良県社会福祉協議会 |
| ||
和歌山県社会福祉協議会 |
| ||
<中国・四国> | |||
鳥取県社会福祉協議会 |
| ||
島根県社会福祉協議会 |
| ||
岡山県社会福祉協議会 |
| ||
広島県社会福祉協議会 |
| ||
山口県社会福祉協議会 |
| ||
徳島県社会福祉協議会 |
| ||
香川県社会福祉協議会 |
| ||
愛媛県社会福祉協議会 |
| ||
高知県社会福祉協議会 |
| ||
<九州・沖縄> | |||
福岡県社会福祉協議会 |
| ||
佐賀県社会福祉協議会 |
| ||
長崎県社会福祉協議会 |
| ||
熊本県社会福祉協議会 |
| ||
大分県社会福祉協議会 |
| ||
宮崎県社会福祉協議会 |
| ||
鹿児島県社会福祉協議会 |
| ||
沖縄県社会福祉協議会 |
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