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■軽費老人ホームは4タイプに分かれる
軽費老人ホームは「社会福祉法人」や「地方自治体」などが運営する高齢者福祉施設で、比較的低い利用料でサービスを提供しています。
所得に応じて自治体の助成制度を利用でき、身寄りがなかったり、経済状況や家庭環境などの理由で家族との同居が困難な高齢者を、主に受け入れています。
この4つに分かれており、身寄りのない一人暮らしの高齢者の「生活」のサポートを主な目的としています。
「軽費老人ホーム」と「ケアハウス」はまったく別のもののような印象がありますが、「ケアハウス」は「軽費老人ホームc型」の別称で、要介護にも対応した施設です。
基本的に軽費老人ホームは要介護状態には対応していないので、介護が必要になった場合は外部事業所の介護サービスを受けるか、退所することになります。
しかし「ケアハウス(軽費老人ホームc型)」は”一般型”と特定施設の指定を受けた”介護型”があるため、重度の要介護にも対応しています。
「ケアハウス」は要介護に対応していること、また介護が必要な状態になっても住み続けられるところが他の軽費老人ホームとの大きな違いと言えるでしょう。
「軽費老人ホーム」と「ケアハウス」の違いは、他にも入居費用、月額利用料、入所基準、提供されるサービスの内容、設備、入所の難易度、施設数、などさまざまな点に違いがあります。
というわけで今回は軽費老人ホームとケアハウスはどのような点に違いがあるのか、メリット・デメリット、また特別養護老人ホームとの違い、有料老人ホームとの違いも含めて詳しく見ていきたいと思います。
軽費老人ホーム・ケアハウスとは(特徴)
高齢者向けの施設には「特別養護老人ホーム」「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者住宅」など様々なタイプがあります。
「軽費老人ホーム」もそのような高齢者施設の一つで、身体的にも経済的にも自立した生活に不安がある高齢者、家族による援助を受けることができないなどの状況下にある高齢者を主に受け入れています。
入居するにはいくつかの条件(入所基準)があり、入所費用も軽費老人ホームのタイプ(a型b型、ケアハウス、都市型)によって違いがあります。詳しく見ていきましょう。
軽費老人ホーム・ケアハウス 入所基準の違い

どんな人が入れるの?
軽費老人ホームには、a型、b型、ケアハウス、都市型の4種類があり、60歳以上を原則としています。夫婦で入所を希望する場合はどちらかが60歳以上であれば年齢条件を満たします。さらに
自分の身の回りのことができる
身寄りがない
円滑に共同生活が営める
などの基本的な条件を満たし、入居に適していると判断されれば入所することができます。
また介護型のケアハウスの入居対象者は「要介護度1以上の60歳以上の高齢者」が基本条件となっていますが、地域や施設によっても違いがあり、経済状態が切迫している人(収入や資産が少ない人)を優先して入所させているところや、75歳以上としているケアハウスもあります。
軽費老人ホームの入所基準 | |||||||
軽費老人ホームa型 | |||||||
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軽費老人ホームb型 | |||||||
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ケアハウス(軽費老人ホームc型) | |||||||
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軽費老人ホーム都市型 | |||||||
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※軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準(老人福祉法第 20 条の 6)が基になっています。
軽費老人ホーム・ケアハウス 入所費用の違い

入居するのに費用はどのくらいかかるの?
軽費老人ホーム・ケアハウスの入居の際に必要な費用は、初期費用(保証金や入居一時金)と月額利用料を合わせた額となります。
a型、b型、都市型は、保証金のみですが、「介護型」のケアハウスでは入居一時金が必要な場合もあり、施設によって入居費用は変わってきます。
「保証金」は賃貸住宅を借りる際の「敷金」のようなもので、退去する際には室内清掃費や修繕にかかった費用を差し引いた残額が返却されます。
一方、介護型ケアハウスの初期費用に必要な「入居一時金」は、償却分を差し引いた未償却分が返金されます。
償却期間や償却率は入居の際の重要事項説明書に記載されているので、トラブル防止の意味でも、入居の際に必ず確認しておきましょう。
軽費老人ホームの入所基準 | ||||||||||
a型 の場合 | ||||||||||
初期費用(保証金)+月額費用 | ||||||||||
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b型の場合 | ||||||||||
初期費用(保証金)+月額費用 | ||||||||||
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ケアハウス | ||||||||||
初期費用(入居一時金 or 保証金) + 月額費用 | ||||||||||
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都市型(東京都の例) | ||||||||||
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軽費老人のホーム・ケアハウス 設備の違い

どんな設備があるのかしら?
軽費老人ホームは、食堂、調理室、浴室、洗面所、トイレ、面談室、事務室、共同生活室などの共同設備と、原則としてひとり1部屋(夫婦の場合は2人部屋)の居室が主な設備となっています。
居室は専用の個室が確保され、さらに各個室の広さには定めがあり、入所者の意思と人格を尊重するという基本方針に沿って運営されています。
b型は食事の提供がないので食堂や調理室はなく、その代わりに各部屋にトイレやキッチンが配置されています。
施設内は段差などをなくし適所に手すりなどを配した高齢者に優しい作りで、緊急通報サービスも設置された基本バリアフリー仕様に整えられています。
設備 | a型 | b型 | ケアハウス |
居室 | 個室 | 個室 | 個室~半個室 |
居室の床面積 | 14.85㎡以上 | 21.6㎡以上 | 14.85㎡以上 |
食堂・調理室 | 〇 | × | 〇 |
共同生活室・リビング | 〇 | 〇 | 〇 |
浴室・洗面所 | 通常浴室 | 通常浴室 | 通常浴室が多い |
洗濯室 | 〇 | 〇 | 〇 |
面談室・相談室 | 〇 | 〇 | 〇 |
リハビリ室 | × | × | △ |
居室内キッチン・洗面所 | × | 〇 | × |
緊急通報装置 | 〇 | 〇 | 〇 |
エレベーター(2階以上) | 〇 | 〇 | 〇 |
軽費老人ホーム・ケアハウス サービス内容の違い

介護が必要になったらサービスが受けられるの?
軽費老人ホームで提供されるサービスは、は基本的に24時間の見守りと生活相談、a型における食事のサービスなどです。
「介護(特定施設)型」のケアハウス以外、食事や排せつなどの身体的な介助は行なっていないので、介護サービスを希望する場合は外部の介護事業所と契約し、介護保険を利用してサービスを受けることになります。
サービスの内容 | a型 | b型 | ケアハウス |
24時間の見守り | 〇 | 〇 | 〇 |
生活のサポート | 〇 | 〇 | 〇 |
相談 | 〇 | 〇 | 〇 |
食事 | 〇 | × | 〇 |
身体の介護 | × | × | 〇 |
身体の機能回復 | × | × | △ |
医療措置 | × | × | △ |
軽費老人ホーム・ケアハウス 入所手続きの違い

どうすれば申し込めるの?
軽費老人ホーム・ケアハウスへの申し込みは、各施設で行います。
まず空きがあるかどうかを確認、申し込みが可能であれば入居申込書を取り寄せ、必要事項を記入して提出します。
訪問、あるいは施設の方の訪問で面談を行い、「住民票」「健康診断書」「所得証明書」など、申し込みに必要な書類を提出し、面談と提出書類、要介護度、収入や資産などを総合的に判断して入居の可否が決定します。
入所の難易度の違い

軽費老人ホームやケアハウスに入るのは難しいの?
軽費老人ホームの設立・運営は、自治体や社会福祉法人が行っていましたが、1990年以降の新設はなく、現在の施設を改築する際は「ケアハウス」に統一して運営していくことが決定しています。(軽費老人ホーム協議会による情報)
施設の老朽化が進み、今後建て替えが行われることを考慮すると、新規の入居はなかなか難しいというのが現状です。
従来の軽費老人ホームへの入居の門戸は狭いのですが、民間事業者にも介護型ケアハウス、都市型軽費老人ホームの設立・運営が認められるようになり、自治体などから建設費の補助金が出ることもあって新設の動きもでています。
東京を例にとると、「都市型軽費老人ホーム」を新設する民間事業者・地主オーナーには東京都から施設整備費用の一部(定員1名当たり400万~500万円)が補助金として助成され、居室の面積基準も21.6㎡から大幅に緩和し 7.43㎡(4畳半程度)とするなど、参入しやすく、なるべく多くの対象者の受け入れができるような対策がとられているんですね。
加えて、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」など賃貸方式の高齢者住宅も増加し、高齢者施設全体でみると2018年現在、入居の難易度はそれほど高くはない状況です。
認知症になったら…

認知症になっても住み続けられる?
軽費老人ホームやケアハウスに入居した後、もしも認知症になった場合、住み続けられるのか不安になりますよね。
どのような症状が出ているかにもよりますが、軽度の認知症で集団生活に支障がなければ、そのまま施設で生活することも受け入れてもらえるでしょう。
ただ、症状が中程度から重度になった場合、a型・b型・都市型の場合は認知症に対応していないので退所しなければなりません。
入居前に、認知症ケアや施設での受け入れについても事前に確認しておくことをお勧めします。
ケアホームの場合「介護型」であれば基本的に対応していますが、いずれにしても症状が重くなった場合は「グループホーム」か、認知症に対応した設備のある「介護付き有料老人ホーム」、「特別養護老人ホーム」へ移ることになります。
老後の資金について
リタイア後の生活は、これまでの貯えと可処分所得の額で、大きな差が生まれてきます。
ただ、資産運用はリスクを伴う賭けのような金融商品もあり、素人が手を出すと大事な老後の資金を減らしてしまいかねないので、慎重に判断しなければなりません。
もしも持ち家に住んでいるのであれば、自宅を担保にした融資制度「リバースモーゲージ」を利用して、自宅に住み続けながら不動産を現金化することができます。
また、高齢者施設への住み替えや移住を考えている場合は、「移住・住み替え支援機構」の「マイホーム借り上げ制度」を利用するという方法も選択肢の一つでしょう。
さらに、持ち家はあるけれど現金収入が少ないという場合は、「不動産担保型生活資金制度」を利用することで、住み慣れた住居を手放すことなく収入を確保することもできます。
それぞれにメリット・デメリットはありますが、少ないリスクで今ある動産・不動産を活用する方法を知っておけば、いざという時に慌てずに行動するための判断材料になると思います。
ケアハウスと有料老人ホームの違い

ケアハウスと有料老人ホームってどこが違うの?
ケアハウスと有料老人ホーム、どちらも介護に対応した高齢者専用施設です。
細かな違いは多々あるのですが、利用者側から見た場合の大きな違いは、やはり「利用料金(初期費用と月額費用)」の違いになると思います。
有料老人ホームは各都道府県より「特定施設入居者生活介護」の認定を受けた民間企業が運営していて、立地や交通アクセスの良さ、居室の広さや豪華な設備、手厚い介護が選択ポイントになるので、初期費用も必然的に高額になるケースが多いです。当然所得制限はありません。
一方、ケアハウスは主に社会福祉法人や自治体が運営しているので、所得が低い人でも助成を受けながら入所することができますし、生活にかかる費用を抑えながら暮らすことができます。所得制限があり、月額費用は所得によって自治体からの助成が受けられます。
どちらの施設がいい、どちらが悪いというわけではなく、これからの生活を考えた上でどのようなサービスが必要で、受けるサービスに対してどれだけ支出できるかという点が選択のポイントになるのではないかと思います。
※軽費老人ホームは2018年現在、必要要件を満たすことで民間の参入も認められています。
特別養護老人ホームとケアハウスの違い

特別養護老人ホームとケアハウスはどこが違うのかしら?
特別養護老人ホーム(特養)もケアハウスも、介護に対応した高齢者福祉施設ですが、大きく5つの点に違いがあります。
1.ケアハウスが「特定施設入居者生活介護」であるのに対し、特養は介護保険の適用を受けながら利用できる公的な「介護保険施設」です。
2.特養は「入居一時金」が不要です。
ケアハウスは数十万~数百万円の入居一時金が必要になるので、この差は大きいですよね。
3.特養は月額費用が安い
特養は、一収入や支給される年金額に応じて「負担限度額認定」が定められていて、制度で定められている負担限度額を超えた分の費用(住居費・食費)について、介護保険から支給を受けることができるので、低価格で一定水準のサービスを受けることができます。
4.入居対象年齢が基本的に65歳以上となっている点です。ケアハウスの60歳以上と比べると多少ハードルが上がります。
5.入居基準の対象となる要介護度が3以上が目安になっている点です。ケアハウスの介護型は要介護1~が対象となっています。
特養は希望者が多い場合、申し込み順の入居となります。しかし入居希望者があまりにも多いため、入居までに10年ほど待機する人もいます。
緊急性が高いと判断した人を優先的に入居させていくケースもあり、なかなか入居が叶わないというのが現状だからです。(2015年の制度改正からより必要性の高い人が優先入居できるようになっています)
それでも特別養護老人ホームへの入居希望者が後を絶たないのは、一度入居すると最後まで入居し続けられるところにあります。
軽費老人ホームとケアハウスの違い まとめ
軽費老人ホームとケアハウスの違いについてまとめてきました。
いかがでしたか?
ケアハウスは介護に対応した軽費老人ホームだということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
従来の「軽費老人ホーム」は今後建て替え・改築にあたって、すべてケアハウスに統一することが決まっています。
また規制緩和で運営しやすくなった「都市型軽費老人ホーム」も、民間事業者や地主オーナーが少しずつ参入し始めました。
2030年には3人に1人が65歳以上という高齢化社会を目前に控え、さらなる対策が急がれています。