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高齢者向け優良賃貸住宅とは
60歳以上の高齢者を入居対象者とした、
バリアフリーなどの一定の条件を満たす、
都道府県知事などの認定を受けた賃貸住宅
です。
家賃は、所得によって助成が受けられます。(助成額(家賃補助額)は収入によって7段階に分かれています)
家賃補助額は最大で家賃の40%あるため、所得が少ない世帯にとって、助成(家賃補助)が受けられる高齢者向け優良賃貸住宅は、助け船の一つといえるでしょう。
また「高齢者向け優良賃貸住宅」は、賃貸借契約になるので、民間の運営する有料老人ホームなどのように、事業所の倒産により退去を迫られる心配がありません。事業者や所有者が変わっても住み続けられる権利が保障されています。
ただし入居にあたっては、
申し込みできる世帯に条件があります。
今回は「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」の特徴、入居条件、家賃補助について、またメリット・デメリットも含めてご紹介していきたいと思います。
高齢者向け優良賃貸住宅 概要
2011年10月サービス付き高齢者向け住宅の創設にともない、

既存の
・高齢者専用賃貸住宅
・高齢者円滑入居賃貸住宅
・高齢者向け優良賃貸住宅
の三つの制度は廃止されました。
高齢者専用賃貸住宅、高齢者円滑入居賃貸住宅、高齢者向け優良賃貸住宅に代わるものとして、この時新設されたのが「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」です。
ただし、大阪市、横浜市をはじめとする一部の自治体では、「地域優良賃貸住宅制度」として、高齢者向け優良賃貸住宅は引き続き運営されています。
高齢者向け優良賃貸住宅の特徴
■高齢者に配慮したバリアフリー仕様
高齢者向け優良賃貸住は、高齢者が安心して居住できるよう住戸内の段差を解消し、玄関や浴室、トイレなどの要所に手すりを設置するなど、安全に配慮されたバリアフリー賃貸住宅です。
■事故や急病などに備えて緊急通報システムを設置
居室に設置された緊急通報システムで24時間、昼夜を問わず緊急時の通報体制が確保されています。(このシステムは有料ですが、月額費用も抑えられていて良心的です)
自治体によってですが、横浜市のように定期的に安否確認を実施するサービス体制が整っているところもあります。
■日常生活を支援するためのサービスも…
物件ごとに違いはありますが、生活援助員などによるアドバイスや「生活相談サービス」、クリーニングの取次や宅配便の受け渡しなどの「フロントサービス」など、日常生活を支援してくれるサービスを提供している物件もあります。
■収入によって家賃補助が受けられる
収入計算後の世帯月収額が一定以下の場合、所得に応じて家賃の一部を補助する制度があります。家賃の補助の期間は、その住宅の管理開始から20年間です。
高齢者向け優良賃貸住宅に入居申し込みできる世帯の条件
高齢者向け優良賃貸住宅への入居申し込みは年金収入のみや無収入(生活保護を受けている方)でも申し込むことができます。ただし各自治体が明記している入居資格のすべてに該当している必要があります。
たとえば
■本人または同居者が対象となる自治体に在住、又は在勤している事
■自らが居住するための申込であること
(他の人に又貸ししたり、セカンドハウスとして利用することはできません)
■申込本人が満年齢で60歳以上で、
単身者か或いは同居者が配偶者、または60歳以上の親族であること
※同居人に関しては各自治体で細かく規定があり、不正利用できないようになっています
■入居時に自立した生活ができる健康状態であること
単身で日常生活に常時介護を必要な場合は、申込時に相談してみてください。在宅介護の体制を確保できれば入居資格が認められることもあります。
■住民税の滞納がないこと
■申込本人及び同居者が「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」第2条第6号に規定する暴力団員でないこと
これ以外にも、各自治体によって細かな規定があります。
大阪府のように過去に公営住宅の入居歴があった場合、家賃の未払(踏み倒したまま)がある人、過去に近隣とトラブルを起こした人、などの項目に該当者がいないことなど、入居資格の条件がさらに細かく設定されている自治体もあります。
高齢者向け優良賃貸住宅の家賃補助要領
高齢者向け優良賃貸住宅は家賃負担を軽減するため、所得に応じて家賃の一部を補助する制度があります。
収入計算後の世帯月収額が、268,000円(金額は見直される場合があります)以下の世帯の場合、入居者の家賃負担額は所得に応じて7段階に分かれています。
世帯の月収額 | 家賃補助の割合 | |
① | 123,000円以下 | 40% |
② | 123,001円~153,000円 | 32% |
③ | 153,001円~178,000円 | 26% |
④ | 178,001円~200,000円 | 21% |
⑤ | 200,001円~238,000円 | 14% |
⑥ | 238,001円~268,000円 | 7% |
⑦ | 268,001円~ | 0% (補助なし) |
家賃の補助期間は物件の管理開始から20年となっています。自分が住み始めてから20年ではないので、古い物件の場合は家賃の助成を受けられる期間は短くなるので注意してくださいね。
また入居者負担額は毎年見直しがあり、世帯収入が既定の額を超えた場合は家賃の補助はなくなります。
とはいえ、最大で40%もの家賃補助は大きいですよね…。
横浜市では家賃補助の大幅な見直しがあった
横浜市では大幅な見直しがあり、平成21年10月以降に管理開始された住宅の場合、家賃補助の対象となる世帯月収額が以下の表ように214,000円以下に変更になりました。
また平成24年5月 1日以降に管理開始された住宅では負担割合にかかわりなく、最高補助額が4万円が上限となっています。
また平成28年12月以降に管理開始した住宅の入居資格は、387,000円以下となっています。
<平成21年10月以降に管理開始した住宅の場合の負担割合>
世帯の月収額 | 家賃補助の割合 | |
① | 104,000円以下 | 40% |
② | 104,001円~123,000円 | 32% |
③ | 123,001円~139,000円 | 26% |
④ | 139,001円~158,000円 | 21% |
⑤ | 158,001円~186,000円 | 14% |
⑥ | 186,001円~214,000円 | 7% |
⑦ | 214,001円~487,000円 | 0% (補助なし) |
※このように、家賃補助の割合や対象となる世帯については見直される場合があるので、利用の際は自治体の福祉課に問い合わせ、補助の対象となるかどうか確認願います。
高齢者向け優良賃貸住宅の入居にかかる費用
高齢者向け優良賃貸住宅の場合、礼金や更新料は不要。ただし入居の際、敷金が必要になります。
敷金はだいたい契約する家賃の3ヶ月分ほどです。
家賃のほかに、毎月共益費、駐車場を借りれば駐車場代などが必要になります。
また物件によっては火災保険が必要な場合もあります。
家賃補助を受ける場合ですが、敷金、共益費は助成金の対象にはなりません。そのため入居の際は準備金として当月分の家賃と共益費、さらに敷金として減額前の家賃×3ヶ月分を用意しておく必要があります。
連帯保証人について
高齢者向け優良賃貸住宅を借りる際には連帯保証人、身元引受人が必要となります。
高齢になると子供に迷惑をかけたくないと思う人や、親戚や兄弟など、保証人として頼れる人も少なくなってきます。
もしも自分で保証人を探せない場合には、家賃の債務を保証する保証会社を紹介してくれる制度があるので安心してくださいね。
多くの自治体では債務保証会社を紹介する場合、高齢者住宅財団の「家賃債務保証制度」を案内しています。
高齢者住宅財団の「家賃債務保証制度」の場合、所得による制限がないので収入が低い場合でも安心して申し込むことができます。
それ以外にも、大阪府のようにクレジット会社の「ジャックス」をメインプランとして紹介しているところもあります。
とにかく、保証人が立てられない場合は一人で抱え込まず、遠慮せず相談してみましょう。
申し込み時に相談することで、解決策を探してもらうこともできます。
高齢者向け優良賃貸住宅のメリット・デメリット
■高優賃のメリットは5つ
- 高齢を理由に拒否されないこと
- 住まいがバリアフリー化されている事
- 所得制限がないこと
- 収入が低い場合は家賃の補助があること
- 緊急時対応サービスがあること
だと言えます。
歳をとると住居探しが難しく、なかなか部屋を貸してもらえないという話を耳にしますが、高優賃は高齢者に優しい賃貸住宅です。
■高優賃のデメリットは…
高優賃は、物件としてのデメリットはほとんど感じられないと思います。
デメリットがあるとすれば、介護度が進み自立した生活が送れなくなった時、介護施設と連携した有料老人ホームのように、ずっと住み続けることができないという点でしょう。
また入居希望者が多く、募集があってもすぐに埋まってしまうこと、なかなか入居できないところも残念な点です。
高齢者専用賃貸住宅との違い
高齢者専用賃貸住宅は、単に入居対象者をシニア世代に限定しているだけであるのにすぎません。
それに対して、高齢者向け優良賃貸住宅は、バリアフリーや、居室の広さ仕様などにも一定の条件を満たした住宅です。
加えて、家賃は所得によっては助成が受けられます。最大で家賃の40%家賃が軽減されるため、所得が少ない世帯にとってはメリットといえるでしょう。
※「高齢者向け優良賃貸住宅」は通称「高優賃(こうゆうちん)」といわれ、「高齢者向け優良賃貸住宅」の事業者に対して国や地方自治体から建設費の一部や、家賃減額に要する費用について補助が行われています。
高齢者向け優良賃貸住宅の補助金について まとめ
高齢者向け優良賃貸住宅について、特徴、入居条件、家賃補助、またメリット・デメリットも含めて紹介してきました。
いかがでしたか?
日本もいよいよ高齢化が進み、一人暮らしの女性高齢者がここ数年急激に増加してきました。
「高齢者向け優良賃貸住宅」は単身の高齢者でも安心して申し込みができるので、選択肢の一つとして知っておくと有効な情報だといえます。
申し込み資格、連帯保証人制度に関しては各自治体によって詳細が違うので、お住いの自治体のホームページや福祉生活課で確認・問合せしてみてくださいね。